第2章 教授法・指導技術研修講座の
実態調査報告
緑川日出子
I 研究概要
1.研究の背景
現職英語教師の多くが,外国語教授法と指導技術に関する研修の必要性を認め,その機会を切望している。このことは,わが国の英語教師は大学で教授法の知識や指導技術を得る機会を十分に与えられることなしに,教壇に立たざるを得ないという教員養成上の問題にも拘わっている。しかしそれ以上に,現職教員研修の機会が不足しているためではないだろうか。1947年に初めて学習指導要領が告示されて以来今日まで,学習指導要領「外国語の目標」は時代の要請を受けて変化してきた。学習指導要領とそれに伴う教授法・指導技術および英語教育に深くかかわる文教政策の変遷(表2-2-1参照)を見ると明らかであり,目標達成に合わせた教授法や指導技術も常に要求されてきたのである。
表2-2-1文教政策の変遷 (資料提供:高梨庸雄,弘前大学教育学部教授)
| 年度 |
特徴 |
1947
|
習慣形成理論を基礎にしたOral Method中心の学習指導要領
|
| 1951 |
理論的には1947年のものを踏襲 |
1957
|
Audio-lingual methodの影響を受けた学習指導要領
(伝達講習会開始 学習指導要領改定に伴う教授法・指導技術の講習開始) |
1967
|
学習活動と言語活動がキ−ワ−ドの学習指導要領
教授法を特定せず,複数の指導法のアイデアを学習者,
社会的ニ−ズ等に応じて用いることを示唆した学習指導要領 |
| 1986 |
JETプログラム開始 |
1989
|
コミュニケーション能力養成と国際理解教育がキーワードになった学習指導要領(Oral Communication courses (A, B, C)が登場)
|
1999
|
Notional & Functional Syllabusの影響の濃い学習指導要領
(英語が義務教育になる) |
1989年告示の学習指導要領以後は,英語教育の目標がコミュニケーション能力の養成となり,従来のややもすれば形式重視,教師主導の伝統的英語教授法では,目標達成が難しい時代を迎えている。コミュニケーション能力養成には,学習者に活動の場を与える学習者主導の英語教授法や指導技術が必要であり,そのために必要な知識や技術を得るための教員研修が不可欠である。しかし全国的に見れば,このような研修を受ける機会に恵まれている教師の数は限られている。また公立学校では,初年次,5年次,10年次等の研修が義務付けられているが,初任者研修を除けば,教科科目の研修時間は限られている。もちろん多くの教師が個人的に教科科目の研修に参加している。しかし,都道府県の教育センターが主催する教師の希望研修では,生徒指導やカウンセリングの研修には参加希望者が多いが,教科科目の研修には参加者が集まりにくいことを多くの研修担当指導主事が指摘している。英語教育改善が遅々として進まないのは,大クラス授業,入試制度,生徒自身の意欲の乏しさ等々,これまで多くのことが言われてきた。しかし,果たして教師は,英語教育の目標達成に必要な教授法理論や指導技術を十分に有していると言えるであろうか。従来,指導技術は先輩教師から学ぶと言う考え方があったが,年々校務等の負担が大きくなる中でこれも崩れつつある。
本研究グループは,こうした状況を踏まえた上で,英語教師の研修の在り方を検討するための手がかりを求め,文部科学省(旧文部省)と都道府県教育委員会主催の「英語教育指導者講座」(以下ブロック研修講座と略称)の参加者に対してアンケート調査を実施した。以下は,研究の手順に従って英語教授法と指導技術を中心にした教師の研修実態について記述したものである。
2.英語教育指導講座の概要
英語教育指導者講座は,コミュニケーション能力養成の英語教育推進を目的として平成6年度から実施されてきた公的研修講座である。英語教育の指導的立場に立つことを期待される教師のコミュニケーション能力と教授法・指導技術改善を目指して4週間5会場をもって始まったこのプログラムは,その後5会場3週間に短縮されている。文部科学省(旧文部省)と都道府県教育委員会が共同主催し,各会場に中学校・高等学校教師各50名をつのり研修させている。講座期間中は週末を除く合宿研修で,授業に用いられる言語は英語である。これまで,3ブロックは国立教育会館学校教育研修所(つくば市)で,他はブロック内の都道府県教育委員会が輪番で実質的開催の労を取っている。なお,講座の研修内容と単位数は次の通りである。
表2-2-2 ブロック研修の内容 (1単位は180分)
| 講義区分 |
単位数 |
講義内容の概要 |
新しい言語活動の紹介
|
14-20
|
ディスカッション,レシテーション,パブリック・スピーキング,ディベート
|
| コンピュータなどの教育機器を使った英語教育 |
0- 2
|
指導の理論と実践,音声面ドリルなど
|
新しい指導と評価の
理論と実践
|
7-10
|
聞くこと,話すこと,読むこと及び書くことの指導と評価について,その現状,問題点及び改善策のディスカッションなど |
| 模擬授業演習 |
0- 2 |
モデル授業を行い,意見交換など |
| 学校訪問 |
0- 1 |
中学校授業を参観,意見交換など |
| 英語力試験 |
0- 1 |
TOEFL ? ITPなど |
| その他 |
0- 4 |
教養講座,特別講座など |
�U アンケート調査について
1.調査目的
以下の質問に関して参加者の傾向を把握することである。
1) 研修参加者は受講した講座をどのように評価しているか。
2) 研修講座は参加した教師の授業法改善にどのように貢献してい
るか。
3) 参加者は研修成果を校内及び校外でどのように他教師と共有し
ているか。
4) 研修参加を支える体制はどうであったか。
5) 教師の研修に関して何を要望するか。
2.調査の方法と分析について
1) 調査対象者:文部科学省から平成11年度英語教育指導者講座参加者438名(中学216名,高校218名)の名簿の提供を受け,発送したアンケートに郵送で回答した42都道府県の先生145名(中学校63名,高校82名)。
2) 調査具:個人の家に郵送したアンケート用紙(Appendix参照)。
研究の背景で呈示した目的に沿って質問事項を作成した。質問事項のうち,講座が参加教師に与えた影響についての具体的記述についてのみ,中学校は学年別に,高等学校は科目別に質問を作成した。なお,アンケートには回答選択式と記述式を併用し,無記名回答とした。
3) 調査期間:平成13年1月13日に投函し,平成13年1月31日ま
でに回収した。
4) アンケート調査の分析法:選択回答については各質問の回答を単純加算して数で示す。記述回答は類似の回答をまとめてカテゴリー化した後,回答数を単純加算して数で示す。アンケート分析結果は質問項目の順に呈示し,若干の考察を加える。
�V 調査報告 中学校教師の部
1.アンケートの分析結果と考察
1) ブロック研修講座の有効性に関する質問:どの講座がどのように有効でしたか。
表2-2-3の左側には5つのカテゴリーの中に記述された講座名,または講師名をまとめて数値で示した。この数値から,アンケート回答者63名が平均8講座(または講師の講義)を有効だと感じたことになる。3週間の研修期間を通してほぼ13程度の講座が用意されているので,約65%の講座を役立ったと感じていることが推察できる。
2) 教授法講義およびワークショップが授業に与えた影響について
�@ 参加前・後の授業方法の変化について
表2-2-3有効な講座と講座参加後の変化について 単位は人数
有効な講座
|
|
受講後の授業の変化
|
1年
|
2年
|
3年 |
| 教養 |
135 |
すぐ全体的に変えた |
1 |
1 |
1 |
| 教授法改善 |
149 |
すぐかなりの部分を変えた |
3 |
10 |
3 |
| 伝達能力向上 |
126 |
すぐ一部を変えた |
27 |
21 |
27 |
| 授業計画等 |
83 |
次学期又次年度全体的に変えた |
1 |
3 |
2 |
| その他 |
16 |
次学期又次年度一部を変えた |
1 |
0 |
0 |
| |
|
ほとんど変えていない |
3 |
2 |
0 |
| |
|
担当者の総計 |
36 |
37 |
33 |
有効だった講座名の「その他」:computer実践3人,英語教育の目標3人,オーラル・インタープレテーション2人,debate体験,マイクロ・ティーチング,リスニング指導方法論,ALT,JETプログラムに関すること,朝のホームルーム授業研究,英語教育目標,音声指導の意義,評価に対する知識
表2-2-3の右側は,研修参加後に教授法や指導技術改善を行ったか否か,行った場合の程度と時期について回答したものである。ここでは担当者が担当科目について1回のみ回答している。この数値から,殆んどすべての学年担当者が,講座を終えて勤務校へ戻った直後になんらかの方法で授業を改善した様子が窺える。特に2学年担当者は,授業を大幅に変えた様子が,数値から読み取れる。
�A 学年別に授業変化に関する具体的説明について
特にどのような点で変わったかについての回答は,表2-2-4,表2-2-5,表2-2-6に示されている。この質問項目は複数回答をしてよいことになっているので,記述の数によって全体の傾向を掴むことができる。
表2-2-4 以前よくしていたが,しなくなったこと
| 中学1年生 |
| 教師の母語使用 |
6人 |
| 英文和訳・訳読 |
4人 |
| 新出言語材料の文法説明 |
3人 |
| 機械的音読, |
1人 |
| 細かな文法誤り訂正 |
1人 |
| 発音訂正, |
1人 |
| ノート写し |
1人 |
| 形式的なQ&A, |
1人 |
| クラス全体が動くインタビュー活動 |
1人 |
| フラッシュ・カード使用 |
1人 |
| 中学2年生 |
| 英文和訳・訳読・逐語訳 |
5人 |
| 新出言語材料の文法説明 |
2人 |
| 導入段階の文法説明 |
2人 |
| ゲーム的活動 |
1人 |
| コンテクスト無しの例文提示 |
1人 |
| 単発的授業計画 |
1人 |
| 細かな語句の説明,挙手による指名, 教師の母語使用 |
1人 |
| ノート写しの作業, |
1人 |
| プリント学習, |
1人 |
| フラッシュ・カードの使用 |
1人 |
| 中学3年生 |
| 新出文型や文法の説明 |
4人 |
| 英文和訳・訳読 |
3人 |
| 教師の母語使用 |
3人 |
| コンテクスト無しの英文例使用, |
1人 |
| T.T授業の通訳 |
1人 |
| 形式だけのコミュニケーション活動やペア・ワーク |
1人 |
| ワークシートによる学習 |
1人 |
数字が示されていないところは各記述についてそれぞれ1名の回答があったという意味である。後の表についても同じ。
表2-2-4で回答を得た,以前よくしていたが講座参加後に止めた教授法や活動は,すべて伝統的教授法に属している。ブロック研修講座が,コミュニケーション能力養成を柱としているために,講座の影響を受けた参加者が,教授法や指導技術,教室活動で目的達成を阻むマイナス要因を排除したと思われる。数にしては多くないが,1年生担当者の変化が最も大きかったことになる。
表2-2-5 講座後によくするようになったこと
| 中学1年生 |
|
| 教師の英語使用 |
14人 |
| 音読の工夫 |
9人 |
| コミュニケーション活動 |
5人 |
| ゲーム |
3人 |
| サマライジング |
2人 |
| リスニングの工夫 |
2人 |
| ロール・プレイ |
1人 |
| 音声教材ダビング |
1人 |
| 映画のダビング |
1人 |
| ペア活動 |
1人 |
| コンテスト利用の語彙指導 |
1人 |
| 会話練習, |
1人 |
| ディクテーション |
1人 |
| 意味重視ドリル |
1人 |
| 学習者中心シラバス |
1人 |
| 授業デザインの熟慮 |
1人 |
| 生徒への反応意識 |
1人 |
| テスト問題の改善 |
1人 |
| 生徒の意見を聞く |
2人 |
| コミュニケーション活動を評価に加える |
1人 |
実物や動作の多用
英語のみを用いた授業 |
1人
1人 |
| 中学2年生 |
| 教師の英語使用 |
7人 |
| 英語のみを用いた授業 |
4人 |
| 音読の工夫 |
7人 |
| コミュニケーション活動 |
4人 |
| ゲーム |
2人 |
| リスニング強化, |
3人 |
| ロール・プレイ |
4人 |
| ライティングを用いた自己表現活動 |
2人 |
| 場面を用いたスピーキング活動 |
2人 |
| 英語の歌 |
1人 |
| サマライジング |
1人 |
すべての生徒に発表の機会を与える,
内容伝達重視 |
1人
1人 |
| 文法指導の工夫,書く活動重視,生徒の意見や考えを引き出す工夫(各記述につき1人ずつ) |
1人
|
| 反復練習の方法改善 |
1人 |
| しっかりとした授業計画 |
1人 |
学習意欲持続に配慮
講座で学んだことを生かす授業作り |
1人
1人 |
| 中学3年生 |
| 教師の英語使用 |
5人 |
| 英語のみを用いた授業 |
3人 |
| 音読の工夫 |
6人 |
| コミュニケーション活動 |
5人 |
| ディベートを取り入れたゲーム |
3人 |
| スキット |
2人 |
| AVL機器を用いた活動 |
2人 |
映画のスクリプトを用いた対話練習
インタビュー |
1人
1人 |
ストーリー・テリング,多読,速読,作文と発表
(各記述につき1人ずつ) |
1人
|
| インターネット教材の利用,カードの有効利用 |
1人 |
| 有意味練習,パラフレージング,場面設定の工夫 |
3人 |
| 具体物の提示,生徒の反応の観察,活動について生徒の意見を聞く |
1人
|
| 文化的な背景や自国と他国の文化比較 |
3人 |
表2-2-5は,講座後に用いるようになった教授法や活動である。すべてを厳密に分けることはできないが,教授法や指導技術と,シラバスや授業計画に関するもの,生徒の情意に関するものでまとめた。すべての学年担当者が教授法,指導技術,教室活動から生徒の情意や授業計画,評価等の工夫に至るまでコミュニケーション能力養成の視点を重視し始めたことが数値から明らかである。特に顕著な変化は1年生担当者の約39%が英語で授業を行い始めたこと,各学年にわたって音読指導が重視され始めたことである。音読については,オーラル・インタープリテーションやシャドウイングの指導を受けて即座に実践したという記述が多い。
表2-2-6 以前も講座後も相変わらずしていること
|
|
| 中学1年生 |
| コミュニケーション活動 |
5人 |
| 英語の挨拶 |
2人 |
| 英語の歌 |
2人 |
| ウォームアップのQ&A |
2人 |
| 英語作文,Shaw & Tell,スピーチ,スキット |
3人 |
| T.Tとの英語授業 |
1人 |
| ALMによる発音指導 |
1人 |
| *ワークブックを用いた文法指導 |
2人 |
| 基礎学力の充実 |
1人 |
| 英語学習の啓蒙 |
1人 |
| *教師中心の授業展開 |
1人 |
| 自分にあった授業スタイルと提示法による授業 |
1人 |
| 中学2年生 |
| 教師の英語使用 |
5人 |
| 文法指導 |
2人 |
| 英語のQ&A |
3人 |
| 和訳・訳読 |
3人 |
| 本文のT・F質問 |
2人 |
| 英語の歌 |
4人 |
| ゲーム |
7人 |
| T.T.での英語授業 |
2人 |
| ALMによる反復発音練習 |
2人 |
音読,小テスト,映画スクリプトのリスニング
(各記述について1名ずつ) |
1人
|
ロール・プレイ,フラッシュカードを用いた単語練習
(各記述について1名ずつ) |
1人
|
質問の工夫,基礎学力の充実,英語学習の啓蒙
(各記述について1名ずつ) |
1人
|
プリントの多用,文型練習
(各記述について1名ずつ) |
1人
|
| 中学3年生 |
| 教師の英語使用 |
3人 |
| コミュニケーション活動 |
4人 |
| ゲーム |
2人 |
| 音読の工夫 |
3人 |
| ロール・プレイ |
2人 |
ディクテーション,暗唱,スキット,和訳,文法説明,書き取り練習,内容理解チェックQ&A,ライティング・テスト,映画のスクリプト・ダビングスピーチ,英語の歌,インタビュー,単元ごとのテスト,文法説明,基礎学力の充実,全員参加の活動,英語学習の啓蒙
(各記述について1名ずつ) |
|
|
表2-2-6は,ブロック講座によっても変化しなかった教授法や指導技術,言語活動等のまとめである。これらの記述は2つに大別できる。一方は,既にコミュニカティブな授業を行っていて授業改善の必要がないことによると思われるもので,他は伝統的教授法を敢えて変えないと思われる記述であるが,数においても種類についても前者の記述が多く,中学校では,講座参加以前からかなり幅広くコミュニカティブな授業実践が行われているのではないかと推察できる。
�B 授業を変えにくい理由について
表2-2-7 授業で実践しにくい理由
| 授業の準備時間・教材研修時間不足のため |
11人 |
| 理論や実践法についての知識を活用するための訓練不足 |
8人 |
| 理論,実践論が学校の実態と合っていないため |
8人 |
| 学力差のため |
8人 |
| 入試のために教え込むことが必要なため |
7人 |
| 授業内容が多すぎて時間不足のため |
6人 |
| クラスの雰囲気のため |
3人 |
| 現状の授業で問題がないため |
3人 |
| 講義や実践論に特に新しいものがなかったため |
2人 |
| 共通テストのため |
2人 |
| 生徒の英語力・語彙力不足のため |
2人 |
| 必要な設備や教材がないため |
2人 |
| クラスの組織作りが困難なため |
1人 |
| テストや評価に問題があるため |
1人 |
| ALTとのコミュニケーション不足のため |
1人 |
しかし一方では,教授法改善の意欲を抱いていても実行を阻む要因が同時に潜んでいるか,実現不可能という実態があることが,表2-2-7によって明らかである。この欄には多少の複数回答があったが,すべての教師が理由を記述していることから,そうした問題が明確になっている。その理由は学校の体制にかかわっていると思われるものが32%であるが,他は教師の信念や指導技術に関する記述であり,教師の研修によって十分変わりうるものである。このことから継続的な研修時間と研修の場の提供が必要であることは明白である。
�C シラバス・授業計画等の作成に与えた影響について
a) 参加前・後の授業計画・シラバス・デザインの変化
表2-2-8 シラバス・授業計画等変化について
| 受講後のシラバス・授業計画等の変化 |
|
| すぐ全体的に変えた |
1人 |
| すぐかなりの部分を変えた |
3人 |
| すぐ一部を変えた |
13人 |
| 次学期又次年度全体的に変えた |
2人 |
| 次学期又次年度一部を変えた |
0人 |
| ほとんど変えていない |
16人 |
表2-2-8は,ブロック研修講座参加がシラバスや授業計画に及ぼした影響を調べたものである。ブロック研修講座に「新しい言語活動の理論と実践」に関する講義が多いが,それを受けて,長期的視点で授業改善を図ろうとする試みはまだ行われていないようである。62名の回答者がすべて1回選択回答してもよい質問の回答率が約56%なのである。授業目標の設定,それに伴う教授法や指導技術の決定,言語材料から評価まで一貫した計画の下に授業を行うことが大切である。従がってこれらは将来の教員研修の大きな分野になり得るであろう。
b)参加前・参加後の変化の具体的説明(記述)
表2-2-9 変化した点
| 参加前の特徴 |
|
| 無計画授業 |
9人 |
| 文法中心シラバス |
5人 |
| 内容の精選をせず指導の焦点化ができない授業 |
5人 |
| 教科書中心の授業 |
3人 |
| 生徒の楽しみのみを重視した授業 |
2人 |
| 参加後の特徴 |
|
| コミュニケーション活動を増加させた授業の組み立て |
10人 |
| 言語使用を重視したシラバス作成 |
4人 |
| 基礎・基本の活動の精選 |
3人 |
| 英語で授業を行う機会を増す授業 |
3人 |
| 長期授業計画の実施 |
3人 |
| スキルの統合指導 |
3人 |
| 新しい単元やレッスンに入る前に生徒の興味・知識等のアンケート調査 |
3人
|
| 計画的な授業の実施 |
2人 |
| 自国の文化に目覚めさせる授業 |
2人 |
| 既習事項の繰り返し学習が可能な授業計画 |
1人 |
| 言語材料を使わせて学ばせる方法を用いる |
1人 |
| リーディングを重視した授業 |
1人 |
| ライティングを授業活動に取り入れる |
1人 |
| 内容理解の和訳を減じる |
1人 |
| 生徒に考える場面を与える授業の工夫 |
1人 |
| 受ける側を考慮した授業 |
1人 |
| 授業の焦点化と発展活動を重視 |
1人 |
| 質問の機会を多く与える授業 |
1人 |
| ディベートを取り入れた年間計画 |
1人 |
| 教科書レッスンの自由な組替え |
1人 |
表2-2-9から,講座の影響でシラバスや授業計画を変えようとする努力も表7から読み取れる。シラバス・デザインや授業計画が変化したのは回答者の約30%程度である。しかし,授業を変えようと試みた教師は,そのことについて複数の改善をしたことになり,その程度は僅かだとしても努力をし始めたものと推察できる。
�D ブロック研修講座が校内・校外に及ぼした影響について
a) 影響の程度
表2-2-10 研修内容伝達の機会
|
|
程 度
|
校内
|
校外 |
| 1大いにあった |
8人 |
10人 |
| 2少しはあった |
38人 |
22人 |
| 3ほとんどなかった |
16人 |
30人 |
|
ブロック研修講座の参加者は校内においては研修の成果を同僚と共有していることが表2-2-10からわかる。参加者の約74%は,程度の差があってもどのように貢献したかを記述している。それに較べて校外では,研修の成果を発表する機会がなかったと答えた教師が約48%にも及んでいる。
b) 活動内容
校内・校外でどのような活動を行って,研修の成果を他の教師と共有しているかを表2-2-11と表2-2-12に呈示した。研究発表や技術伝達,モデル授業,教科会から資料の回覧や配布まで,方法は異なるが,機会があれば十分に貢献できると推察可能である。各県から1度に参加できる教師の数は中学校・高等学校各5名程度に限られているから,講座参加者が組織的に授業改善の中核になれるような組織作りが必要だと言えるであろう。
表2-2-11校内で行った研修活動の種類
| |
科内報告会 |
5人 |
| 1 |
資料回覧 |
3人 |
| |
研究授業 |
3人 |
| |
研修効果共有 |
3人 |
| |
科内で情報交換・口頭伝達 |
15人 |
| |
資料の共有 |
13人 |
| |
指導法伝達・実践発表 |
8人 |
| 2 |
研修報告書回覧・配布 |
5人 |
| |
校内研修会 |
3人 |
| |
ディベート・シャドウィング指導の方法を紹介 |
2人 |
| |
研究授業 |
1人 |
| |
講義テープの共有 |
1人 |
| |
T.T.授業で指導法伝達 |
1人 |
| |
機会が得られなかった |
6人 |
| 3 |
時間の余裕がなかった |
4人 |
| |
同僚にはすでに知識があった |
1人 |
| |
自信がなかった |
1人 |
左側の数字は,1大いにあった,2少しはあった,3ほとんどなかったの意味である。
表2-2-12 ブロック研修講座参加後の校外における影響
| |
研究発表 |
3人 |
| |
指導法伝達 |
3人 |
| |
研究授業 |
2人 |
| 1 |
研究に発展
|
1人
|
| |
資料作成・提供 |
2人 |
| |
学校指導資料作成 |
1人 |
| |
ブロック講座講師を招いての研修会 |
1人 |
| |
指導法伝達 |
6人 |
| |
研究会講師 |
1人 |
| |
資料配布 |
3人 |
| 2 |
研究授業
|
4人
|
| |
研究発表 |
1人 |
| |
研究報告書作成・提出 |
9人 |
| |
資料配布 |
1人 |
| |
研究会立ち上げ準備 |
1人 |
| |
参加の機会なし |
17人 |
| 3 |
業務多忙なため
|
3人
|
| |
校外の教員との交流なし |
1人 |
| |
要請がなかった |
1人 |
左側の数字は,表2-2-11と同じ。
�E ブロック研修講座参加体制についての質問
a) 講座参加の容易さについて
表2-2-13 参加しやすかったと答えた教師(44人)の理由(複数回答)
| 時期がよかった---授業を抜けるのが少なかった 1人 |
| 周囲の教職員の協力 8人 |
| 校長が全面的に理解ー他の教員への協力要請 4人 |
| 代員/非常勤講師の派遣 7人 |
| 補欠体制が確立されている 3人 |
| 中学・高校と分かれた研修のため 1人 |
| 学級担任でなかった 1人 |
| 学年主任/副主任/他の先生の協力 2人 |
| 自習学習中心にできたー復習中心の内容だった 1人 |
| T・Tの加配教員・臨時・補欠教員がいた 3人 |
| 教育委員会と校長の強制だった 1人 |
| 補欠計画をきちんと立てた 1人 |
| ALTに授業を任せた 1人 |
| 教科・振替交換 1人 |
| |
| 表2-2-14参加しにくかったと答えた教師(13人)の理由(複数回答) |
| 生徒指導の面で心配な生徒がいた 1人 |
| 他の先生に負担をかけた 7人 |
| 通知表を書くのに苦労した 1人 |
| 約3週間自習体制を組んだ 1人 |
| 校内行事と重なった 4人 |
| 代員が配置されなかった 1人 |
表2-2-13によれば,3週間学校を空けてブロック講座に参加することが容易であったと答えた教師は約71%で,出にくかったと答えた教師の約21%を大幅に上回っている。教師が校務を離れる間の授業措置は,上司や同僚の協力によるものであったり,たまたま特別時間割で授業を行う時期的要因によるものであるようだ。しかし,出易かったと感じた教師の大半が,複数の回答をしていることから,上司や同僚の協力と自分自身も授業をやり繰りして出かけている様子が窺える。また,非常勤や代替教師の時間配当があったという記述がすべての記述の26%に及んでいる。一方,表2-2-15から参加しにくかったと感じた教師の回答には,同僚の協力や校内の役割が果たせなかったことに負担を感じている様子が窺える。
b)欠けた授業の措置
表2-2-15 欠けた授業の措置(複数回答)
| 自習/プリント 14人 |
| 英語科教員の授業 7人 |
| 代員の授業 7人 |
| 非常勤講師の授業 7人 |
| 副担が授業 2人 |
| ALTや他のJET 2人 |
| 教科・振替交換 7人 |
| 校内行事で欠けたため,講座終了後増やした 1人 |
| 10月中に講座中の授業を全部行った 1人 |
| 教頭の授業 1人 |
| 主任/指導主事の授業 1人 |
ブロック研修講座に出張の間に欠けた授業の措置については,表2-2-15が示すとおりである。45の複数記述回答があったが,上述のa)の理由と質問が重複したためにこの欄には空欄が多かった。記述から同一教師が複数の方法で授業をやり繰りして出張している様子がわかる。
c) 問題解決策の提案
表2-2-16 問題解決のための提案
| 代用教員の派遣 11人 |
| 長期休暇中に実施 5人 |
| テストのない時期に実施してほしい 1人 |
| 研修機関は1ヶ月以上に戻してほしい 1人 |
表2-2-16の回答者は,表2-2-15でブロック研修に参加しにくかったと答えた教師である。17名の回答があったが,代用教員の派遣とそれに類する希望を述べているのは12名である。参考までに,多くの都道府県は授業を空けることが1ヶ月に及べば非常勤講師の配置を行うということである。
�F コミュニケーション能力向上のための研修についての要望事項
最後に,英語教師研修に対する要望事項を自由記述してもらった。結果は表14に示すとおりである。それらの回答を
1)研修時期に関するもの
2)研修内容に関するもの
3)研修方法に関するもの
にまとめた。ここでは2)と3)に若干の考察を加えたい。2)の回答の大半は,即座に授業に役立てることができる活動例や,模擬授業実演,教科書の用い方指導等に関する要望である。また,記述総数の25%が,教師の英語運用能力を高めるための研修を求めるものであった。3)は講習時期と方法に関するもの,参加後の義務を求めるもの,教員研修の必要性を唱えるもの,長期研修や海外研修の充実を訴えるもの等,すべてが建設的意見である。冒頭で教師は研修の意欲は在ると述べたが,表2-2-16によってこれが裏付けられたことになる。
表2-2-16 研修についての要望事項(複数回答のみ数で示す)
| 1)研修の時期に関するもの |
実施期間についての反対:
長期休暇中に対して→ 自主研修・休養に支障がある
1月に対して→ 3年生は受験前で大変な時期なのでプリント中心ではかわいそう
年度末に対して→ 理由記載なし |
| 個人的に授業処置をしなければならない学校,学校全体で組織的に補欠授業者を考えてくれる学校もあり不公平である |
| 2)内容に関するもの |
| 文部省では現場の状況を把握してほしい |
| 現場で活躍している講師の授業を望む |
| 模擬授業を望む |
| 模擬授業の時間をできるだけ多くとってほしい |
マイクロ・ティーチングの時間をもっととって教師が相互に
研修できるようにするとよい。 |
| 評価に絞った研修が必要である |
| ディベートの具体的方法講座がほしい |
| ディベート演習は何度も繰り返して方法論を学ぶことが大切 |
| 中・高一環教育に関するテーマの講義がほしい |
| 地域の学校視察(公開授業)の機会を組み込んでほしい 5人 |
| 生徒の実態に応じた講習内容が必要である |
| 生徒に動機付けを与える活動を多く紹介してほしい |
| 生徒指導の方法も含む教科指導のあり方の研修を望む |
| 授業の事例研究を加えてほしい |
| 授業ですぐに用いることができるアイディアを提供してほしい 5人 |
| 参加講師が授業を紹介する時間がほしい 2人 |
| 講習前に資料を配布して事前準備期間を与えたほうが効率的 2人 |
| 講習参加者が講義外でも英語を用いることは不可欠である |
| 教師の英語力アップの講習が必要 12人 |
| 教科書編者を講師として教科書の用い方の講習がほしい |
| 教科書の用い方の具体的講義がほしい |
| 教員研修のためのホーム・ページがほしい |
| 環境,共生等の今日的テーマの講座もほしい |
| 英語のみの講義には日本語のハンドアウトが必要である |
| 英語学・言語学等の講義もほしい |
| 3)研修の方法に関するもの |
| 県単位でブロック講座を開催してほしい 3人 |
| ブロックセミナー参加者にある一定期間後に集まって研修するシステムがほしい |
| ブロック講座参加者に伝達講習を義務付ける |
| ブロック研修後はさらに英語を用いる作業を義務づける |
| 夏休みに希望教師が参加できるようにしてほしい |
| 小さな地区単位での実施を望む 2人 |
| 大学院・講習等同僚に気兼ねなく出かけられるシステムが必要である |
| 代替講師を配置して研修の参加体制を整えてほしい |
| 真に英語教育改善を望むなら多くの教員に研修の機会を与えるべき |
| 自主研修が行いやすいシステムが必要である |
| さらに短期間にしてより多くの教師画参加できるようにしてほしい |
| 講座の期間中にTOEFL試験を実施してほしい |
| 地方の要請で講師を派遣し地方での研修を可能にしてほしい |
| 近隣諸国英語教師との共同研修を望む |
| 教師3年目までにすべての教師にこの講座に参加させるべき |
| 教材研究をする時間もないほどの現場の状況改善が必要である 2人 |
| 教員の資質向上の研修が必要である |
| 海外研修の機会を与えてほしい 3人 |
| 海外研修・ALTとの合同研修を望む |
| 英語づけの生活ができるような環境を整えるべきである |
| 5年に1度程度ブロック研修参加の機会を与えてほしい |
| 3週間では中途半端である。長期研修・海外研修を充実すべき |
| 3ヶ月の海外研修を復活してほしい |
�W 調査報告 高校教師の部
1. ブロック研修講座の有効性に関する質問:どの講座がどのように有効でしたか。
表2-2-17の左側は上記の質問に対する回答のまとめである。この数値から,アンケート回答者82名が,参加した13講座のうち平均5.4講座を有効であったと感じていることがわかる。これは全講座の42%に相当している。カテゴリーを用いてまとめた数値からはわかりにくいが,高校教師の記述には,研修講座に参加して知識を得たことに満足感を示す傾向があり,そのことは,表1欄外の「その他」の記述を見ても推察できる。
表2-2-17有効講座と参加後の授業の変化について
(数字は記述回答者の人数)
| 有効だった講座 |
人数 |
担当別授業の変化 |
I�U |
R |
W |
OC. |
| 教養 |
88 |
すぐ全体的に |
2 |
1 |
1 |
4 |
| 教授法改善 |
116 |
すぐかなりの部分を |
7 |
2 |
3 |
3 |
| 伝達能力向上 |
88 |
すぐ一部を |
40 |
41 |
20 |
17 |
| 授業計画等 |
85 |
次学期又次年度全体的 |
9 |
5 |
1 |
1 |
| その他 |
33 |
次学期又次年度一部を |
0 |
10 |
15 |
12 |
| |
|
ほとんど変えていない |
10 |
18 |
9 |
19 |
| |
|
担当者の合 計 |
68 |
77 |
49 |
56 |
有効だった講座名「その他」:教師の熱意6人,computer実践5人,debate体験5人,教師の教養4人,教授法実践,実践的アイディアの獲得2人,生徒理解2人,英語教育目標2人,音声指導の意義2人,評価に対する知識1人
注:担当科目欄のI�Uは英語I�U,Rはリーディング,Wはライティング,OCはオーラル・コミュニケーションA,B,Cの意味である。
2.教授法講義およびワークショップが授業に与えた影響について
1)参加前・後の授業法の変化
表2-2-17の右側は,講座参加者の受講後の授業方法の変化とその程度,及びその時期を表わしている。各列の人数の総計が異なるのは,受け持っている担当科目が異なるためである。英語I・IIでは,担当者の85%以上が,リーディングでは約78%が,ライティングでは80%が,ブロック研修講座参加後のいずれの時期かに程度の差はあるが,講座の影響を受けて授業を変えている。これに較べて,オーラル・コミュニケーションでは,受講後に授業を変えた教師は約62%である。
2)科目別に見た授業法変化についての具体的説明
表2-2-18は研修参加前後の授業方法の変化を示すものである。各項目の最大数値は,表2-2-17の各科目担当者の中でこの質問に答えた最大数ということである。この項目は複数回答にしたので,数字は教師がどのような活動をどの程度行っているか,その傾向を明らかにするものである。英語I・IIでは担当者の26%が,リーディングでは担当者の33%が,和訳・訳読型の授業を止めたと述べている。また,各科目の記述のすべてが正確さや形式重視で伝統的教師主導の教授法に属すものである。従って,数的には少ないとしても,講座参加後は新しい英語教育の流れに沿って,旧い教授法を止める傾向に向かったと言える。
表2-2-18 以前よくしていたが,しなくなったこと
| 英語�T�U |
|
Reading |
|
| 英文和訳・訳読 |
14人 |
和訳・訳読 |
21人 |
| 教師の母語使用 |
4人 |
機械的音読 |
6人 |
| 機械的音読 |
5人 |
教師の母語使用 |
4人 |
| 文法説明 |
3人 |
説明中心授業 |
3人 |
| 教師中心授業 |
2人 |
文法説明 |
3人 |
| Writing |
|
Oral Communication A,B,C |
|
| 和文英訳 |
3人 |
パターンプラクティス |
1人 |
| 文法説明・強化 |
2人 |
日本語訳 |
1人 |
| 細かな誤り訂正 |
1人 |
ALTの通訳 |
1人 |
和英辞典の使用
|
1人
|
本文を用いたダイアローク練習 |
1人
|
| |
|
テープを用いたQ&A |
1人 |
| |
|
ディクテーション |
1人 |
3)講座参加後によくするようになったこと
表2-2-19は,研修参加後に授業に加えられた新たな活動や教授法・指導技術等の変化を示すものである。英語I・IIには83,リーディングには95, ライティングには50,オーラル・コミュニケーションには26の記述があり,人数には関係ないとしても,オーラル・コミュニケーション以外は,変化の度合いがほぼ同程度であったと言える。
どの科目にも新しい教授法理念に照らした指導技術や活動が取り入れられている。英語I・IIとリーディングで最も多くの担当者が取り入れたのは音読の工夫である。中学校の場合も同様であったが,講座にオーラル・インタープリテーションやシャドウィングの講義があり,どちらかといえば機械的に行われがちな音読に新たな工夫が加わったということであろう。英語I・IIでは,生徒に発言の機会を与えたり,リスニングを強化する等,スキル統合型の英語授業を展開し始めたのではないかと推察できる。リーディングではコミュニケーション活動を取り入れながら英語を用いてテキスト理解を進め始めたり,語彙の推察や,背景知識の利用などのリーディング・ストラテジー指導が新たに加えられている。ライティング授業では流暢に書かせる活動を取り入れ始めた教師が多い。また,ともすれば文法強化になりやすいライティングに,スピーキングを加える傾向も現れている。従来の授業に加えて講座で学んだ新しい指導技術を用いる試みが,特に英語I・II,リーディング,ライティングの授業で著しい。また,英語I・IIでは約12%,リーディングでは14%の教師が,授業中に英語を用い始めたことになる。
オーラル・コミュニケーション担当者の場合は,新しい活動数と種類は他科目のそれに較べて約1/2程度と少ない。これは,おそらくコミュニカティブな教授法や指導技術が既に定着していることを意味するのかもしれないが,このデータのみでは断定できない。
表2-2-19 講座後によくするようになったこと
| 英語�T�U |
|
Reading |
|
音読の工夫
|
16人
|
音読の工夫
|
23人
|
生徒の発話機会
|
15人
|
教師の英語使用
|
11人
|
ディクテーション
|
8人
|
ペアー/グループ活動
|
10人 |
リスニング
|
8人
|
ディクテーション
|
9人 |
教師の英語使用
|
8人
|
リスニング
|
7人 |
oral introduction
|
5人
|
コミュニケーション活動
|
6人 |
内容理解Q&A
|
5人
|
大意把握要約
|
6人 |
サマリー活動
|
3人
|
内容理解Q&A
|
6人 |
リーディング速度のチェック
|
1人
|
背景知識の活性化
|
2人 |
スピーチ・ディスカッション
|
3人
|
コンテストを用いた語彙指導
|
2人 |
TV, VTR, Movie利用
|
3人
|
文法・語法活用例を用いた指導
|
2人
|
評価活動の導入
|
2人
|
文法・語法のコンテスト利用指導
|
1人
|
テストの工夫
|
2人
|
リーディング速度のチェック
|
1人 |
コンテスト利用の語彙指導
|
2人
|
音声教材の多用
|
1人 |
コンテスト重視のwriting
|
2人
|
黙読
|
1人 |
Jigsaw 学習者理解 考える時間
|
1人
|
ディクテーション・ディベート
|
1人
|
授業の反省 部分暗記 速読指導
|
1人
|
プレゼンテーション
|
2人
|
|
|
自ら学ぶ活動の組み立て
|
1人 |
|
|
コミュニカティブ・リーディング
|
1人
|
|
|
俳句作成
|
1人 |
|
|
生徒とのインタラクション
|
1人 |
| Writing |
|
Oral Communication A,B,C |
|
自由作文
|
9人
|
ディベート
|
2人 |
Speakingの要素を加えた文法指導
|
5人
|
定期テストにリスニング
|
2人
|
speakingを加えたwriting
|
4人
|
教師の英語使用
|
2人 |
トピックに対する意見作文
|
4人
|
ALTとの共同評価
|
2人 |
音読の機会と量
|
4人
|
ALT活用,教室のoutput量増大
|
1人
|
ペアー/グループ活動
|
4人
|
グループ・ペアワーク
|
4人 |
コミュニケーション重視の活動
|
3人
|
リサーチ・プロジェクト
|
2人
|
listening, dictation
|
2人
|
タスクを用いた活動
|
3人 |
日記
|
1人
|
生徒の発表の機会増
|
2人 |
時間制限作文
|
1人
|
スキット
|
1人 |
プロセスライティング
|
1人
|
音読の工夫
|
1人 |
ディベート
|
1人
|
教材の厳選
|
1人 |
パターンプラクティス
|
1人
|
授業の反省
|
1人 |
教室での英語使用
|
1人
|
背景知識を与えてlistening練習
|
1人
|
| e-mail |
1人 |
|
|
| オーセンティック教材活用 |
1人 |
|
| 日本語の見つめ直し |
1人 |
| Look up and write |
1人 |
4)以前も講座後も相変わらずしていること
ブロック研修講座参加以前も参加後も授業が変わらないことを示しているのは表2-2-20である。この表には英語I・IIに61の記述があり,そのうち約36%は伝統的教授法を全く変えていない。残りは新しい教授観に基づく指導法とその活動を記述している。このような見方をすると,リーディングに関する27記述については,旧・新の比がほぼ同率,ライティングは18記述のうち,約56%が旧い教授法に基づくもの,45%が新しい教授法に基づくものである。
オーラル・コミュニケーションの記述は13と少ないが,旧い教授法に基づく指導はわずか8%程度である。このことから,旧いタイプの授業が今も残っているのは,リーディングとライティング,新しい教授理論に基づいて授業が進んでいるのはオーラル・コミュニケーションだと言える。表2-2-19では,オーラル・コミュニケーションに新しく取り入れられた活動の記述が少なかったが,表2-2-20と照合するとこのことがはっきりすると思う。英語I・IIについても同様の傾向が見られる。授業法が変わらないという記述の中には,伝統的文法訳読中心授業が数の上で大きい。授業が入試対策であるという記述は数としては少ないが,訳読や文法指導,暗記テスト等が入試のために必要だという教師の信念は,講座参加後も簡単に変わらないのではないかと思わせるデータである。
表2-2-20 以前も講座後も相変わらずしていること
| 英語�T�U |
|
R |
|
| 英文和訳・訳読 |
12人 |
和訳・訳読 |
8人 |
| 文法説明 |
12人 |
音読の工夫 |
4人 |
| 入試対策 |
4人 |
skimming, scanning |
3人 |
| 教師の母語使用 |
2人 |
母語による解説 |
3人 |
| 指導英文板書 |
1人 |
ペアワーク |
2人 |
| 音読重視 |
7人 |
単語テスト |
2人 |
| 予習プリント |
4人 |
内容理解テスト |
1人 |
| ペアワーク |
3人 |
和訳添削 |
1人 |
| 教師の英語使用 |
2人 |
副教材の利用 |
1人 |
| 和訳の排除 |
2人 |
直読直解 |
1人 |
| ALTの利用 |
2人 |
プレゼンテーション |
1人 |
| 内容理解Q&A |
2人 |
|
|
| clozeテスト |
2 人 |
|
|
| 補助教材 |
1人 |
|
|
| Listening comprehension |
1人 |
|
|
| ゲーム |
1人 |
|
|
| オーラル・イントロダクション |
1人 |
|
|
| 文化紹介 |
1人 |
|
|
| セミナーで自己の指導法が正しいと確認 |
2人
|
|
|
| W |
|
OC |
|
| 和文英訳 |
7人 |
ペアワーク |
2人 |
| リスニング・ディクテーション |
3人 |
教師の英語使用 |
2人 |
| 文法中心・強化の作文指導 |
3人 |
Presentation |
2人 |
| スピーチ |
2人 |
Group work |
2人 |
| 自由作文 |
2人 |
スキット |
1人 |
| 教師の添削 |
1人 |
リスニング |
2人 |
| |
|
T. Teaching |
1人 |
| |
|
教科書に添った指導 |
1人 |
5)授業を変えにくい理由について
表2-2-19,2-2-20によって,ブロック研修講座参加後の授業は確実に変化し始めているが,依然として伝統的教授法を用いている状況も明らかになった。表2-2-21は,その理由を問う質問に対する回答のまとめである。複数回答であるがこの質問には無回答者はいなかった。総計111の記述は,学校の体制によるもの約45%,教授法や指導技術に関するもの約15%,生徒に係わるもの約19%,教師自身に係わるもの約21%に大別され,そこにはコミュニケーション能力の養成を阻む要因が凝縮された形であらわれている。これらのうち,約55%に及ぶ学校の体制以外の理由を見ると,教員研修によって十分解決できる課題であることがわかる。
また,新しい授業実践を阻む第1の要因は,校内における統一進度,共通テストであるという点に注目したい。これを学校の体制と見ることはできるが,それを温存しているのは教師自身ではないだろうか。そうであるとすれば,阻害要因は教員研修によって克服できる筈である。このように考えると,現在,英語教育改善を阻害する要因は教員研修を進めていけば,やがては解決できる問題が大半であると言えそうだ。
表2-2-21ブロック講座で学んだ教授法を授業で実践しにくい理由 n=111
| 学年共通シラバス・一斉テスト(教師の考え方不一致) |
16人 |
| 入試のための受験指導(特に高学年) |
13人 |
| 授業準備時間不足‘‘‘で新しい授業への取り組み困難 |
11人 |
| 生徒のモーティベーション不足 |
14人 |
| 教授法理論と現実のギャップ |
10人 |
| 授業時間数・進度の関係でコミュニケーション活動は難しい |
9人 |
| クラスサイズ |
8人 |
| 指導力・技術力不足 |
8人 |
| 生徒の学力差 |
6人 |
| 必要な設備・備品等の不足 |
4人 |
| 具体例を含む講義やワークショップの不足 |
3人 |
| 評価が難しく授業に応用できない |
3人 |
| 教師の気力不足 |
2人 |
| 日本語を用いない授業に対する教師・生徒の不安 |
2人 |
| 日本人のメンタリティ・アイデンティティとの兼ねあいの難しさのため,新しい教授法の英語習得効果に疑問 |
1人
|
5)研修講座がシラバスや授業計画の作成に与えた影響について
�@ 参加前・参加後のシラバス作成や授業計画の変化
この質問に対して回答してくれたのは72人で10人が無回答であった。回答の特徴は参加者の50%がシラバス作成や授業計画については,参加後も全く影響を受けなかったと答えていることである。ここから推論できることは,約50%の受講者は,講座参加後に単発的な新しい試みを始めたが,長期的ビジョンで本格的に進め始めたのは,僅か5%に過ぎないということになる。
表2-2-22 シラバス・授業計画等の変化について
| 変化の時期と程度 |
|
| すぐ全体的に変えた |
0人 |
| すぐかなりの部分を変えた |
4人 |
| すぐ一部を変えた |
18人 |
| 次学期又次年度全体的に変えた |
2人 |
| 次学期又次年度一部を変えた |
7人 |
| ほとんど変えていない |
41人 |
�A シラバス作成や授業計画等の変化の具体的説明
表2-2-23の回答については,参加前と参加後の両方に回答を求めたにもかかわらず,正確に記述した回答者が少なく,両者を比較して傾向を調べるだけに留めた。参加前の記述には,授業目的を明確にし,目的に合わせた指導法を選び,計画的に授業を行うという視点を欠く記述が主であるが,参加後の記述からは,シラバス作成という視点で授業作りに取り組み始めたことがわかる。表2-2-22,表2-2-23を照合すると, 数の上では少ないが,講座参加がきっかけで授業を根本的に見直す動きも起こり始めたことが推察できる。
表2-2-23 変化した点
| 参加前の特徴 |
|
| 文法・訳読中心授業 |
9人 |
| 教師主導の授業組み立て |
5人 |
| 無計画授業 |
3人 |
| コミュニケーションの視点不足 |
2人 |
| 形式的な年間計画 |
2人 |
| 入試偏重 |
2人 |
| スキルの偏り |
1人 |
| 機械的音読 |
1人 |
| 参加後 |
|
| 自己表現活動を加えた授業計画 |
5人 |
| 生徒参加型授業 |
5人 |
| コミュニカティブ・インタラクティブな授業 |
3人 |
| 長期目標を立て計画的に授業実施 |
2人 |
| 音声指導重視授業 |
3人 |
| 学年目標の決定 |
1人 |
| タスク・ベースの活動評価のためのクライテリア確立 |
1人 |
| LL授業の強化 |
1人 |
| 生徒の動機づけを高める授業 |
1人 |
| 役立つ情報を増す授業の組み立て |
1人 |
| 内容理解を伴う音読 |
1人 |
6) ブロック研修講座参加によって校内校外に与えた影響について
a) 影響の程度
表2-2-24から,回答者の約66%は,校内では研修の成果を同僚と共有できたと答えているが,校外への影響度については殆んどなかったと答えた教師が64%であった。ここから,ブロック講座参加者は,まだ外に向けては研修の成果を発信できない状態であることが明らかで,授業改善のために講座参加者が積極的に貢献できる場の確保が今後の課題として浮かび上がってくる。
表2-2-24 研修成果の共用
| |
校内 |
校外 |
| 1) 大いにあった |
10人 |
0人 |
| 2) 少しはあった |
52人 |
27人 |
| 3) ほとんどなかった |
17人
|
47人
|
表2-2-25から,全参加者の76%以上が,校内では複数の活動を通して研修の成果を他の教師と共有していると推察できる。校内で少し影響があったと答えた教師でも,表2-2-26と照合すると,研究授業や研修会,紀要の作成発表等によって実質的な活動の場を得たようである。しかし,校外で同様の場を得たのは,そのうちの約半数に減少する。このことから,文部科学省が意図する英語教育指導者の養成は,校内ではほぼ機能しているが,校外では有効に機能していないと言えそうである。
表2-2-25 校内における研修成果の共用についての具体的記述
単位は人数
|
|
|
少しはあった
|
|
効果がなかった理由
|
| 研修報告書回覧・配布 |
10
|
時間の余裕がなかった
|
|
|
|
|
|
| 科内研修会 |
2 |
|
| 指導技術紹介 |
2 |
|
| 実習生の指導 |
1 |
|
| 関係図書の購入 |
1 |
|
| 資料の活用 |
1 |
|
|
|
表2-2-26 ブロック研修講座参加後の校外における影響
| 少しはあった |
|
効果がなかった理由 |
| 研究紀要・報告書作成・配布 |
6
|
参加の機会なし
|
研究会講師
|
2
|
既決のスケジュールを変えて発表できない |
7)ブロック研修講座参加体制についての質問
�@ 講座参加の容易さについて
表2-2-27によれば,3週間勤務校を離れて研修に参加することの容易さについては,回答者の約78%が研修に出やすかったと回答している。これは,すべての参加者の約74%に当たり,ここから,校務を離れてのブロック研修講座参加が,比較的容易であったと推定できそうである。その主な理由は,校内の協力体制にあるということである。また,非常勤講師に恵まれた教師は,参加者全体の約9%で例外的であり,時期が良く校務に影響がなかった教師が全体の約15%に相当していた。
一方,参加しにくかったと答えた教師の割合は,回答者の約22%で, 全参加者の20%である。主な理由は,同僚や校務遂行に迷惑をかけたというものである。約5人に1人はどちらかと言えば参加しにくい状況であったということは,今後検討すべき課題と考えたい。
表2-2-27参加のしやすさ・しにくさの理由
| 参加しやすかった先生(61名) |
参加しにくかった先生(17名) |
管理職・同僚の協力
|
23人
|
授業は同僚が行い,迷惑をかけた8人 |
非常勤講師を得た
|
7人
|
担任・進路等校務があったため4人 |
| 長期休暇・行事なし等 |
6人 |
学年末であったため2人 |
| プリントで自習課題作成 |
5人 |
参加の強制1人 |
| 担任なし |
5人 |
|
| 授業なし |
1人 |
|
�A ブロック講座に参加中の授業措置
表2-2-28は,ブロック研修講座参加中に欠けた授業の措置について,82名の講座参加者のうち,80名が85の回答をしたものである。従って,複数の方法を用いてやり繰りした状況が推察できるが,中心的なものは,科内で他の教師が受け持ったというケースで,それが全体の約42%に当たる。一部前倒し授業や振替授業のケースもあり,この場合は自分の授業は前・後にまとめて行うので,参加教師の負担が大きいことになる。非常勤等で補ったケースが16と出ており,表2-2-27の非常勤配置とは異なる形で授業の代替措置ができた教師もいるようだ。この数値は,すべての参加者の19%以上に当たり,やや多いようにも思われ,複数回答であることを考えれば,措置の中に非常勤等の手伝いを得たケースもあると理解するほうが良いのではないかと思われる。
表2-2-28ブロック講座に参加中の授業措置
| 科内同僚が授業 |
36人 |
| 非常勤・その他の講師による授業 |
16人 |
| 一部自習 |
10人 |
| 振替えまたは前倒し授業 |
7人 |
| 他教科教師が授業 |
5人 |
| 課題学習 |
5人 |
| 授業なし,校務・他教師が行う |
5人 |
| ALTによる授業 |
5人 |
�B 問題解決のための提案
表2-2-29が示すとおり,3週間でも非常勤講師の配置が必要だと言う回答が圧倒的である。次の対策は校務にできるだけ支障のない時期を選ぶということである。研修の必要性を痛切に感じながらも,実際には研修に出かけにくい状況があるようだ。
表2-2-29 問題解決のための提案
| 3週間でも講師を配当する |
33人 |
| 校務に支障のない時期を選ぶ |
12人 |
教科内で不公平が起こらぬよう多くの教師に参加の機会を
与える |
2人 |
その年参加できなければ参加の権利を次年度に持ち越す
ことができるようにする |
1人 |
| 常に謙虚にして協力関係を作る |
1人 |
8) 教授法・指導技術とコミュニケーション能力向上のための研修についての要望事項
自由記述による回答は:
(1)教授法・指導技術に関するもの38
(2)研修期間や方法に関するもの39
(3)ブロック研修講座に関するすること28
に大別される。教授法・指導技術に関しては,マイクロ・ティーチングのような演習を含む授業方法論に対する要望が最も強い。テストや評価,文法指導,入試との兼ね合い等についての要望からは,コミュニケーションを重視すればするほど,それに伴う方法論が必要になり,教師が具体的な示唆を求めている様子がよくわかる。
研修期間や方法については,希望者に海外研修の機会を与えてほしいという要望,すべての教師に研修の機会を与えること,ブロック研修講座期間中は英語で生活したいこと等,今後の研修の在り方について多くの示唆を与えてくれている。また,ブロック研修講座に対する要望は多岐にわたり,客観的なものから主観的と思われるものまで混在している。年間5回のブロック研修講座では,講師の多くが地区ごとに異なっているのでまとめにくいため,ここではこれ以上の解説を省略する。
表2-2-30 研修に対する要望 単位は人数
| (1) 教授法・指導技術に関するもの |
|
| 文法の効果的指導法 |
4 |
| 動機づけに関するもの |
3 |
| T.T.の方法論 |
3 |
| 評価に関するもの |
2 |
| テストの方法論 |
2 |
| 入試にもコミュニケーションにも役立つもの |
2 |
| 演習を含む授業方法論 |
18 |
| 近隣のEFL教師と情報交換セミナー |
2 |
| 実践から生まれた指導法の紹介 |
1 |
| リーディング指導は学力差別でそれぞれの指導法 |
1 |
| (2) 研修期間や方法に関するもの |
|
| 希望する教師に海外研修の機会を与える |
12 |
| 期間中は英語のみを使用する |
10 |
| 時期・講師措置も含めてできるだけ多くの教員が参加できること |
9 |
| 時期を短く地方でも定期的に受けられる |
8 |
| (3) ブロック研修講座に関するすること |
|
| 参加前に準備の時間を与えてほしい |
3 |
| ディスカッション・トピックが類似 |
3 |
| 事前に提出した教案の利用を |
2 |
| 講師の高校教師に対する偏見が強い |
2 |
| 同一問題を抱える教師集団を作ってほしい |
2 |
| 中高教員交流はよい |
2 |
| 参加人数多すぎ |
2 |
| 中高ニーズがことなるので,中高別に |
1 |
| 中高交流がほしい |
1 |
| 現場をよく知っている講師を |
1 |
| ゆとりある時間割で,教員の情報交換がほしい |
1 |
| 他のブロックの講師を招聘してほしい |
1 |
| 研修は教授法・コミュニケーション能力向上のみに限る必要はない |
1
|
| 大学教師の講義はリフレッシュになる |
1 |
| 大学教師は現場の苦労がわからない |
1 |
| 具体例不足 |
1 |
| 教養講座の必要性なし |
1 |
| より実践的な講座を希望 |
1 |
| 講座・講義・講師が少ない |
1 |
�X 今後の課題
平成11年度英語教育指導者講座参加者の協力を得て,講座評価のアンケート結果をまとめ,多くの有益な情報を得ることができた。研修に参加した教師は,受講した多くの講義を有効であったと評価しており,教室英語が増加し,生徒の情意を配慮しながら生徒を巻き込んで授業を進めていることなどを報告している。こうしたことから,主催者が期待したような成果を,部分的にではあっても着実に挙げていると結論することができる。部分的と断わらざるを得ないのは,依然として教授法や指導技術を大幅に変更するのは難しいという実態があるからで,特に高等学校においてその傾向が強いようである。新しい英語教育の目標達成を阻む要因としては,教師の校務や精神的負担よりも,英語教育の目標に不可欠な教員研修の不足にあることが,今回の調査ではっきりしたようである。英語教育の質を確保し,常に時代の要請に応えていくためには,教師に校務を離れて研修に参加する機会を提供することが急務ではないかと思う。
また,職場の同僚の協力を得て,ようやく研修に参加したにも拘わらず,その成果を同僚とさえ十分に共有し難く,校外でその役割を実現することはさらに難しい状況が見受けられるのは,大変残念なことであると思う。「英語教育指導者講座は毎年続いているが,終了後の義務も課題もない」という受講者からの指摘は,教員研修の在り方を検討する上で,慎重に受け止めるべき課題であろう。今後の英語教育の指導的立場にある受講者の貴重な意見や研修への意欲に着目し,耳を傾けていきたい。教師は大学卒業までに3060日間の授業を受け,大学院で学生教師として教育実習を75日間行っても,教師から長い間指導を受けてきたので,その指導法から抜けだ出せないというKennedy(1990:4)の言葉,(Richards & Lockhart:1994:4)を引用して,彼等は教員研修の必要性を唱えている。教授法改善がいかに困難であるかを呈示し,継続的な研修の必要性への提言である。授業改善が進まないのは英語教育に対する伝統的かつ固定化した信念が障害になっているのではないかと思われる。同様のことがブロック研修講座に参加した教師の声として,自身の体験を検証するアンケートを通してここにも訴えられていると思う。この貴重な資料に基づき,今後の教員研修の在り方を模索し,改善していく上での留意点として,本研究グループは以下3項目を提言したい。
1.必要な研修を受講する機会をより多くの教師に提供すること。2.研修による成果を授業実践に生かす体制を支援していくこと。3.英語教育の指導的立場にある者として受講後も積極的に研修を継続することを奨励し,その役割を果たす場をさらに拡大すること。
引用・参考文献
Kennedy, N. 1990. Policy Issues in Teacher Education. East Lansing, Michigan:National Center for Research for Teacher Education.
Richards, J. C. & C. Lockhart. 1994. Reflective Teaching in
Second Language Classrooms. Cambridge:CUP.
Appendix 1 アンケート依頼状とアンケート調査票
平成13年1月10日
昭和女子大学文学部英米文学科
教授 緑川 日出子
平成11年度英語教育指導者講座ご参加の先生方にアンケートのお願い
明けましておめでとうございます。突然アンケートのお願いを申し上げます。このアンケートは、清泉女子大学教授石田雅近を代表とする英語教員研修研究会(研究員5名、研究協力者1名)による共同研究「現職英語教員の教育研修の実態と将来像に関する総合的研究」(平成12年度から平成15年度の4年間に渡る文部省科学研究費補助金研究(基盤研究B:課題番号:36632)の研究の1部であり、わたくしが担当している「現職教員と教授法」に関するものです。研究の目的は、日本の中・高等学校教育の中で現職教師が教授法や自己の英語力に関して、どのように研修を行っていくのがよいかについて方法を模索するためであります。この問題を研究するにあたり、私自身もブロック講座の講師を務めさせていただいておりますことから、文部省初等中等教育局高等学校課外国語教育研修係のご賛同を得まして、昨年度文部省中・高等学校英語教育指導者講座にご参加なさった先生方の名簿をご提供いただきました。お忙しい中を恐縮でございますが、下記の通り、2つのアンケート調査にご回答いただきたくお願い申し上げます。
記
1.アンケート第1部:ブロック研修講座について
アンケートの趣旨は、国内唯一の3週間に及ぶ公的な研修講座を、みなさまの教授法改善やコミュニケーション能力向上の観点から評価していただき、今後、中・高等学校英語教師の研修をどのように進めていくべきかについて示唆を得るためのものです。
2.アンケート第2部:ソウル市中・高等学校の先生方にソウル市教育庁を通してお願いしたアンケートについて
韓国では、公的機関主催の英語教師のためのワークショップや講習会が盛んに行われています。制度や方法論について知るためにソウル市の中・高等学校の先生方にこのアンケートに回答していただいております。ソウル教育庁の担当者から日本の先生方の研修に関する状況も是非知らせてほしいという要望があり、両者を比較することで相互に学び合うことが出来ると考え、先生方にぜひ回答のご協力をお願いする次第です。
みなさまから頂戴致しましたデータは、私たちの研究に用いさせていただくに留まらず、今後のブロック講座の計画や運営にも役立たせていただけますよう文部省にもご報告させていただきます。アンケートはすべて、匿名でまとめさせていただきますのでよろしくお願い致します。
3.アンケート回収期間について
平成13年1月末日
お忙しいのに恐縮ですが、ぜひ先生方のご協力をお願い致します。なお、郵送には返信用封筒にアンケート用紙を入れてそのまま投函してください。料金後納郵便になっております。
4.アンケートの結果について
ご希望の先生方にはデータ整理を終了した後にe-mail で伝えさせていただきます。その他の先生方は、教員研修研究会のホームページ(後に示す)を通して結果を覧いただけましたら幸いでございます。
以上、よろしくお願い申し上げます。
平成13年1月5日
英語教員研修研究会
緑川日出子
英語教員研修研究会(TERG)
研究代表 石田 雅近(清泉女子大学)
副代表 緑川日出子(昭和女子大学)
研究員 久村 研 (調布学園短期大学)
酒井 志延(桜の聖母短期大学)
笹島 茂 (埼玉医科大学)
研究協力者 小泉 仁 (文部省)
(中学校教師用)
アンケート第1部 ブロック講座について
番号選択の場合は番号を○で囲んでください。その他は記述してください。
講座の有効性に関する質問
どの講座がどのように有効でしたか。記憶されておられる範囲で、講座名または講師名と講義タイトルを記述してください。重複する場合は講座名または講師名のみで結構です。
�@教養として役立った講座
�A教授法改善に役立った講座
�Bコミュニケーション能力向上に役立った講座
�Cシラバス・デザイン、授業計画等に役立った講座
�Dその他 理由も記述してください。
教授法について
(1)ブロック講座参加前と参加後の授業法について質問します。それぞれの授業のうち担当しているものについてのみ、記入してください。
1年生
a. 参加前と参加後で授業方法を変えましたか。
すぐに変えた方:
1.全体的に変えた 2.かなりの部分を変えた 3.一部を変えた
すぐに変えなかった方:
4.今でもほとんど変えていない 5.次の学期、または次年度に全体的に変えた 6.次の学期、または次年度になってから一部を変えた
b. 特にどのような点で変わりましたか。具体的な活動名などを記入してください。(複
|
|
以前よくしていたが、しなくなったこと
|
|
講座後によくするようになったこと
|
|
以前も講座後も相変わらずしていること
|
|
|
�A2年生
a. 参加前と参加後で授業方法を変えましたか。
すぐに変えた方:
1.全体的に変えた 2.かなりの部分を変えた 3.一部を変えた
すぐに変えなかった方:
4.今でもほとんど変えていない 5.次の学期、または次年度に全体的に変えた 6.次の学期、または次年度になってから一部を変えた
b. 特にどのような点で変わりましたか。具体的な活動名などを記入してください。(複
|
|
以前よくしていたが、しなくなったこと
|
|
講座後によくするようになったこと
|
|
以前も講座後も相変わらずしていること
|
|
|
�B3年生
a. 参加前と参加後で授業方法を変えましたか。
すぐに変えた方:
1.全体的に変えた 2.かなりの部分を変えた 3.一部を変えた
すぐに変えなかった方:
4.今でもほとんど変えていない 5.次の学期、または次年度に全体的に変えた 6.次の学期、または次年度になってから一部を変えた
b. 特にどのような点で変わりましたか。具体的な活動名などを記入してください。(複
|
|
| 以前よくしていたが、しなくなったこと |
|
| 講座後によくするようになったこと |
|
| 以前も講座後も相変わらずしていること |
|
|
(2)ブロック講座では教授法についての新しい理論や方法論を検討する機会が多かったと思います。にもかかわらず、授業でそれらを実践しにくい理由があれば、それを記述してください。
3. シラバス・授業計画等の作成について
ブロック講座参加前と参加後のシラバス・授業計画等の方法を比較してさい。
a. 参加前と参加後でシラバス・授業計画等の方法を変えましたか。
すぐに変えた方:
1.全体的に変えた 2.かなりの部分を変えた 3.一部を変えた
すぐに変えなかった方:
4.今でもほとんど変えていない 5.次の学期、または次年度に全体的に変えた 6.次の学期、または次年度になってから一部を変えた
b. 特にどのような点で変わりましたか。できるだけ具体的に記入してください。(複数
ブロック講座参加の学内・学外における影響について
ブロック講座参加によって得た知識や技術を勤務校の他の教員になんらかの形で還元したり伝達する機会がありましたか。願号を○で囲み、その後に必要なことを記述してください。
学内
|
|
| 1.大いにあった |
方法: |
| 2.少しあった |
方法: |
| 3.ほとんどなかった |
理由: |
|
学外(地域の中英研、高英研等)
|
|
| 1.大いにあった |
方法: |
| 2.少しあった |
方法: |
| 3.ほとんどなかった |
理由: |
|
ブロック講座参加体勢について
(1)ブロック講座に参加するにあたり、学校、学年、学科の協力状況について質問します。
どちらか一方を選び、理由を記述してください。
| 1.比較的参加しやすかった |
理由: |
| 2.どちらかといえば参加しにくかった |
理由: |
(2)ブロック講座に参加している間に欠けた授業の処理はどのように行われましたか。記述して下さい。
(3)(2)について問題を感じておられる場合は、どのように問題解決すべきか具体的提案をしてください、
最後に、教授法やコミュニケーション能力向上のための研修について、要望
事項があれば自由に記述して下さい。参考のために番号をつけますが、余白
を利用なさって必要なだけ書いて下さい。
1.2.3.4.
ご協力ありがとうございました。このアンケートの結果は研究の目的のみに使用する統計データとしてのみ、処理することをお約束いたします。個々の回答がどなたによってなされたかを特定できるようなデータの使い方は一切致しません。
高等学校用
ブロック講座について
1. 講座の有効性に関する質問
別に添えましたブロック講座のスケジュール表をご覧になって数字による回答と必要に応じて記述回答をお願い致します。
どの講座がどのように有効でしたか。番号で答えてください。重複しても構いません。
�@教養として役立った講座
�A教授法改善に役立った講座
�Bコミュニケーション能力向上に役立った講座
�Cシラバス・デザイン、授業計画等に役立った講座
�Dその他 理由も記述してください。
2. 教授法について
(1)ブロック講座参加前と参加後の授業法について質問します。それぞれの授業の特特を例にならって簡単に記述してください。
現在担当の科目について記述してください。
従来の授業法と特に変化がない場合は、参加前の覧に記述し、参加後に変化なしと記述してください。
例 writing
| 参加前 |
参加後 |
和文英訳中心文法強化のためのパターン練習。短文による作文
|
身の回りのトピックを利用して言 語材料を用いて,作文する機会を与えている。宿題として英文日記を書かせている。 |
�@ 英語I・II
参加前 参加後
�Aリーディング
参加前 参加後
�Bライティング
参加前 参加後
�Cオーラル・コミュニケーション(A/B:選んで下さい)
参加前 参加後
(2)ブロック講座では教授法についての新しい理論や方法論を検討する機会が多かったことと思います。にもかかわらず、授業の中でそれらを実践しにくい理由があればその理由を記述して下さい。
3. シラバス・授業計画等の作成について
ブロック講座参加前と参加後の方法論を記述して下さい。なければ参加前の状態を記述し、参加後に変化なしとして下さい。
参加前 参加後
4. ブロック講座参加の学内・学外における影響について
ブロック講座参加によって得た知識や技術を勤務校の他の教員になんらかの形で還元したり伝達する機会がありましたか。番号を○で囲み、その後に必要なことを記述してください。
学内
1. 大いにあった 方法:
2. 少しあった 方法:
3. ほとんどなかった 理由:
学外(地域の中英研、高英研等)
1. 大いにあった 方法:
2. 少しあった 方法:
3. ほとんどなかった 理由:
5. ブロック講座参加体勢について
(1)ブロック講座に参加するにあたり、学校、学年、学科の協力状況について質問します。どちらか一方を選び、理由を記述で下さい。
1. 比較的参加しやすかった
理由:
2.どちらかといえば参加しにくかった
理由:
(2)ブロック講座に参加している間に欠けた授業の処理はどのように行われましたか。記述して下さい。
(1)(2)について問題を感じておられる場合は、どのように問題解決すべきか具体的提案をしてください。
最後に、教授法やコミュニケーション能力向上のための研修について、要望事項があれば自由に記述して下さい。参考のために番号をつけますが、必要なだけ書いて下さい。
Appendix 2 都道府県別回答を下さった先生
表2-2-31 県別回答者
| ブロック |
県名 |
数 |
ブロック |
県名 |
数 |
1
|
北海道 |
6 |
4
|
福井 |
4 |
| 青森 |
3 |
滋賀 |
1 |
| 岩手 |
3 |
京都 |
3 |
| 宮城 |
2 |
大阪 |
0 |
| 秋田 |
3 |
兵庫 |
0 |
| 山形 |
3 |
奈良 |
1 |
| 福島 |
5 |
和歌山 |
0 |
2
|
茨城 |
5 |
5
|
鳥取 |
1 |
| 栃木 |
7 |
島根 |
2 |
| 群馬 |
4 |
岡山 |
0 |
| 埼玉 |
4 |
広島 |
1 |
| 千葉 |
8 |
山口 |
2 |
| 東京 |
0 |
徳島 |
1 |
| 神奈川 |
6 |
香川 |
1 |
3
|
新潟 |
3 |
愛媛 |
2 |
| 富山 |
5 |
高知 |
1 |
| 石川 |
1 |
6
|
福岡 |
4 |
| 山梨 |
2 |
佐賀 |
4 |
| 長野 |
3 |
長崎 |
1 |
| 静岡 |
2 |
熊本 |
4 |
| 岐阜 |
3 |
大分 |
2 |
| 愛知 |
8 |
宮崎 |
2 |
| 三重 |
2 |
鹿児島 |
3 |
|
沖縄 |
3 |
| |
不明 |
15 |
| |
計 |
145 |